何十年乗っていなくても自転車に乗れるのはなぜ?
十数年ぶりにまた自転車に乗り始めたんですが、乗り方を忘れるでもなく、普通に走ることができました。人ってどうして乗り方を忘れないんでしょう? 少し調べてみました。
よく、体で覚えたことは忘れないと言われますが、それも結局、脳の働きの問題のようですね。記憶には、短期記憶と長期記憶とがあり、長期記憶にはさらに宣言的記憶(言葉で記述できるような記憶)と手続的記憶(体で覚えたり無意識の行動に関する記憶)に分けられるそう。自転車の乗り方というのは手続的記憶に入るんですね。そして、手続的記憶は小脳に半永久的に残るそうです。
記憶される場所が大脳ではなく小脳というのが面白いですね。小脳というのは、身体各部の運動の反射中枢ですから、要は、いろいろなことを大脳で意識したり考えたりする前に、小脳にある記憶が反射的に体を動かして、自転車を運転するというわけですね。そういえば、久しぶりの運転中に何か頭で考えた時、例えば坂道でギアチェンジをする時に、このくらいの傾斜だとどの位置が良かったかな? と考えたとたんに運転がギクシャクしてしまった、というようなことがありますね。運転に関する大脳の記憶は薄れているので、大脳からの情報を得ようとするととっさに出てこなくて、脳全体が混乱するのかもしれません。あくまでも想像ですが。
こういう、知識の背後にある知を「暗黙知」というそうです。人間は、言葉ではっきりと表せないような無意識的な知によって、暗黙のうちに複雑な制御を行なうことができるようになっているんですね。頭でっかちの人間が問題なのは、手続的記憶、暗黙知が弱いからなのかな、とか思いました。
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